クライスラーのエンブレム・ロゴは、その歴史の中で何度もデザインが変更されている。1920年代半ばから1950年代半ばまでの間、クライスラーが生産する車両にはブランドの最初のエンブレム・ロゴである「ゴールドシール」が採用されていた。そのデザインは会社設立時の初期メンバー18人の1人であるオリバー・クラークにより考案されたもので、シーリングワックスとリボンにより構成される。クラークの証言によると、このシールはクライスラーが誇る品質の代名詞とのこと。装飾される稲妻模様は「Z」を象ったものであり、チーフエンジニアのフレッド・ゼダーに因んで命名されたゼダーの試作車に対する敬意が表現されている。その後、ゴールドシールは1954年に廃止され、1955年から1980年代までのクライスラーの量産モデルには一貫性のあるエンブレム・ロゴが搭載されることはなかった。
ゴールドシールが復活したのは1990年になってからで、従来のシーリングワックスを模したデザインは踏襲しつつ、シルバーウイングの中心に配置された。このウィングドシールデザインは2009年頃までの量産モデルに装着されている。
2009年に発表された新しいエンブレム・ロゴでは、シルバーウイングはよりエレガントな形状に変更され、伝統的なゴールドシールは廃止された。代わりに青色の背景にクライスラーの文字を象ったプレートに置き換えられている。伝統的なゴールドシールは失ったものの、洗練されたデザインにより、よりモダンな印象を与えるデザインに生まれ変わった。
クライスラーにはペンタスターデザインもあるが、こちらはコーポレートロゴに使用されている他、1963年から1970年代までの量産モデルの助手席側フェンダーの下側に飾られていた。このペンタスターは1960年代初頭にリッピンコット&マルグリーズ社から提案されたもので、800を超える他の候補デザインの中から選ばれている。ペンタスターの形は5つの自動車部門を意味するものではなく、当時のクライスラーの社長 リン・タウンセンドが会社が有する全てのブランドを表す新しいシンボルが必要と判断した1962年に作成された。
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