ダッヂのエンブレム・ロゴは、雄羊の頭を象ったものが有名であるが、そのロゴに至る以前は様々なデザインが採用されている。ダッヂ・ブラザーズのイニシャル「D,B」を組み合わせた丸い盾型のデザイン、未来への進歩と前進を意味するブーメラン形状を2つ重ねた「Forward Look」、三角型の「Flatzog」、赤いペンタスターとダッヂの文字を組み合わせたものなど。
ラム(雄羊)は権威、力、恐れ知らず、活力を意味する。1930年代初頭、ダッジ車のボンネット上には雄羊のマスコットが装飾されていた。時が経ち、1990年代になるとボンネットマスコットは時代遅れになり、雄羊をモチーフとしたエンブレム・ロゴが誕生、1993年から2010年の間のほぼ全てのダッヂ車に装着された。
2009年にフィアットがクライスラーを買収した際、ラムは単独のブランドとして独立することになったため、ダッヂで使われてきた雄羊のシンボルはラムブランドに譲渡することになった。ラム製トラックの強度やパワーのイメージに勇ましい雄羊が合致したことが理由である。ラムブランド車の2011年モデルから雄羊のエンブレム・ロゴが使用されることが決まり、ダッヂも新しいデザインが必要となった。
ダッヂはナイキのロゴをデザインしたことで有名なワイデン&ケネディ社と共に新しい企業ロゴを検討することになった。ダッヂはラムのイメージを捨て去り、新しいブランドの方向性「永遠に若い気持ち」とパフォーマンス主導の歴史を刻むことを強調したかった。そのため、デザイン検討チームはダッヂ バイパーを開発したクライスラーのSTR (Streetand Racing Technology) グループの人気に注目した。結果として、Dodge文字の後に2本の赤いスラッシュマークを付与した企業ロゴが完成。赤いスラッシュマークはスピードと敏捷性を意味する。当初、新しい企業ロゴの使用範囲は広告や販促商品などに限定すると発表されていたが、2012年モデル以降のダッヂ製量産車のグリルに装着されることになった。
元々クライスラーの子会社だったが、現在はFCA (フィアット・クライスラー・オートモービルズ) グループに属する自動車メーカーである。
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